離婚を考えたら訪れる館

           

     更新日 2012/07/10  






離婚の際の慰謝料については,大きく次の2つに分類されます
浮気や暴力など離婚に至った原因行為から生じる精神的な苦痛に対するものです。
離婚をすることそれ自体(=配偶者の地位を失うこと)から生ずる精神的苦痛に対するものです。
なお,あくまでも典型例ですので,慰謝料が認められる場合は,これらに限らず,個別具体的な事情によって異なります。

不貞行為(相手の浮気)
暴力,悪意の遺棄
婚姻生活の維持への不協力
性交渉の不存在


なお,夫婦関係の破綻による離婚のケースにおいて,主に自分の側に原因がある場合には,逆に請求されてしまう可能性があります。

反対に,相手側の浮気(不貞行為)が原因で離婚に至るような場合には,浮気相手(不貞相手)に対して請求できることになります。

ただし,浮気相手と配偶者の両方から,慰謝料を二重取りすることはできません。

たとえば,300万円の慰謝料が認められるケースで,浮気相手からすでに300万円の慰謝料を受け取っていた場合,配偶者に対してそれ以上の請求をすることはできなくなります。

そのほか,不貞行為前に夫婦関係がすでに破綻していた場合や,不倫相手が婚姻している事実を知らなかった場合には,認められないケースもありますので覚えて置くことです。

慰謝料の請求手続は二つあります。

まず一つ目は離婚原因を作った配偶者への請求です。

決意まではしていない場合には,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を単独で起こすことになります。

ただし,この場合は離婚していませんので,それ自体に基づく精神的苦痛に対しての請求はできなくなります。

そのため,慰謝料の金額は離婚する場合と比較して低額になります。

また,夫婦関係を継続することが前提になるため,配偶者に対して訴訟を起こすことは現実的ではなく,基本的には不貞相手などに請求をしていくことになる

二つ目は、配偶者以外からの慰謝料請求です。

たとえば,浮気相手に対して,配偶者ではなく,子どもから請求をすることはできないとされています。

この点について,裁判例では,特段の事情がない限り,子どもから請求することはできないとされています。

その理由は,不貞をしたからといって,子どもに愛情をそそぐことができなくなることには,ただちに繋がらず,子どもが直接的に精神的苦痛を被ったとまではいえないというものです。

そのため,子どもから請求する場合には,浮気が原因で子どもに愛情をそそぐことができなくなった等,子どもが直接的に精神的苦痛を被ったといえる特段の事情が存在する場合に限って,請求が可能となり,この点をしっかり詰めて請求する必要があります。



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